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月経のメカニズム

月経のメカニズム

プロゲステロンは妊娠に至らなければ、月経サイクルの終わりにアポトーシス(細胞死)を誘発します。これが、子宮内膜が毎月剥がれ落ちる月経のメカニズムです。

このエストロゲンとプロゲステロンの干満が、正常な子宮内膜や乳管細胞内のバランスを維持しています。

エストロゲン優位になると、プロゲステロンによるアポトーシスが誘発されないため、子宮内膜の細胞が蓄積し、子宮内膜増殖症や乳房の乳腺繊維腫嚢胞の原因となります。

いずれも癌ではなく、正常細胞の増殖ですが、プロゲステロンが誘発する子宮内膜細胞の剥がれ落ち(月経)が起こらないと、これら増殖した細胞を癌細胞に変える条件にさらされやすくなります。(過剰なエストロゲン・化学物質・ウイルス・放射線など)

子宮内膜増殖症

原因

エストロゲン優位による細胞増殖。

経腟超音波検査や組織診・細胞診にて単純型・複雑型・異型の有無の4タイプに分類されます。

症状

40歳代以降に起こりやすい不正性器出血や過多月経。

不妊症の原因となる場合もあります。

治療方法

一般的にガイドラインでは以下の治療法があります。

単純型は症状がなければ経過観察、
不正性器出血や過多月経がある場合には、合成ホルモン剤投与

異型細胞を認める場合は、子宮体癌に移行するリスクが他のタイプより高く、
高容量黄体ホルモン療法または子宮全摘術

当院では、まず唾液女性ホルモン検査によるホルモンバランスの確認を行い、ナチュラルプロゲステロンホルモン療法の補充を行います。

子宮筋腫

原因

エストロゲン優位のホルモンバランスを中心に、漿膜内・子宮筋層内・子宮内膜にできる腫瘤。

症状

不正性器出血、過多月経、貧血、月経時の腹痛、便秘、頻尿間、呼吸苦不妊など大きさや数、発生部位により症状は異なります。

治療方法

黄体期のナチュラルプロゲステロン療法(重度多量出血や重症貧血時を除く)

筋腫のサイズを3か月おきに、確認しながら閉経まで継続します

子宮内膜症

原因

エストロゲン優位のホルモンバランスを中心に、子宮内膜またはそれに似た組織がなんらかの原因で、子宮内膜以外の場所で発生発育する疾患。

子宮内膜症は女性ホルモンの影響で月経周期に合わせて増殖し、月経時の血液が排出されずに卵巣嚢胞(チョコレート嚢胞)になったり、子宮や卵巣が周囲の腸や膀胱などの組織と癒着することで、様々な痛み(月経痛・排便痛・性交痛など)をもたらします。

子宮内膜症が出来やすい部位

卵巣、ダグラス窩(子宮と直腸の間のくぼみ)、仙骨子宮靭帯(子宮と仙骨を繋ぐ靭帯)

卵管や膀胱子宮窩(子宮と膀胱の間のくぼみ)、稀に肺(気胸の原因)や腸。

症状

月経痛、性交痛、排便痛、不妊症

治療方法

子宮内膜症は再発しやすく、痛みの程度に応じたナチュラルホルモン療法・漢方ケアによる体質改善を行います。
症状や発生部位により外科的対応を提案する場合があります。

子宮頸部異形成
(子宮頸部上皮内腫瘍:
Cervical Intraepithelial Neoplasia:CIN)

子宮頸部上皮内腫瘍
原因

ハイリスク型ヒトパピローマウイルス(HPV)が子宮頸管の細胞に感染や子宮頚管を刺激し炎症を起こさせます

子宮頚管炎やセックスによる頸部の外傷、喫煙などによるもの。

20-30歳代の女性に急増し、病変の程度により、軽度異形成(CIN1)・中等度異形成(CIN2)・高度異形成・上皮内癌(CIN3)の3種類あります。

CIN1-2は経過観察、ハイリスク型でも多くの場合が自然消失しますが、CIN3や、CIN2が長期に渡り遷延する場合は、一般的に手術適応となります。

症状

多くは自覚がない事が多く、がん検診(妊娠初期検査含む)で指摘されることが多い。

治療方法

エストロゲン優位に対し、ナチュラルホルモン療法
漢方ケア、VitB群、A、Eの補充

   

子宮頸部異形成と診断されピルを服用中の方は、必ず受診時にお伝えください。